歴ヲタの私は古代史全般が好きなのですが、特に「ホムタワケ大王(応神天皇)から奈良時代」が好きです。
「土偶と埴輪どっちが好き?」とか聞かれると「断然、埴輪!」と答えるけど、
縄文遺跡も気になるので見に行くし、縄文土器もかっこいいと思う。
東京国立博物館「特別展はにわ」

今回のハニワ展は、「挂甲の武人 国宝指定50周年記念」と題うって、国内外の5人の武人が一堂に会しています。
大きな展示室に5体あって、見比べることができました。
群馬の同じ工房で作られたと推定される武人の5兄弟。
左手に弓を持ち、靫や胡簶を身につけて、衣装はほぼ同じだけどズボンのリボンの仕様が少し違う。
二人は(二体?)太刀に手を掛け、他の三体は胡簶を手にしています。
後ろ姿も見ることができて大満足でした。

館内は一部以外は写真撮って良かったのですが、大勢の見学者がいてどうしても映り込んでしまうので、あまり撮りませんでした。

図録はとても重いけれど、非常に満足のいくものでした。
コラムも多いし、作品それぞれに解説が載っていました。
これまで図録買っても全部読むなんてあまりなかったけど、こちらは買ってきてすぐ読みました。感動が再びよみがえります。
企画展では、さまざまな埴輪が紹介されていました。
円筒埴輪に始まり、形象埴輪、武人たち、人物埴輪の群像埴輪(儀礼の意味は説がたくさんあるということを紹介していました)とテーマごとに展示されていました。
有名どころの古墳はほぼ訪問済みといっても過言では無いかも。

最近、馬を曳いている馬子説も出ています。
以前の修復時の接着剤などが傷んで崩壊寸前だったため修復し、あわせてクリーニングもしたところ、本来の土の赤みが出てきたそうです。

千葉の芝山あたりにもこんなサンタクロースみたいな埴輪がいます。
後ろには、岩戸山古墳を守っていた石人たちも。

誄を行っていると推定されます。しゅっとした塩顔のイケメン。

動物埴輪も充実していて大満足。
その後、考古室と東洋館を見て帰る。
朝一から見学して、本館と法隆寺宝物館を割愛したのに、一時過ぎまでかかってしまいました。
国立博物館にも外国人観光客が多くなったなあーと思う。

表慶館でまさかのキテイ展、すごい列でした。
東京国立近代美術館「ハニワと土偶の近代」展

都路華香「埴輪」1916年
こちらは、埴輪と土偶を展示するのではなくて、埴輪と土偶が近代にどう扱われてきたかを紹介していて、私には目からウロコの連続で、非常に興味深かったです。
当時の雑誌などの展示も多く、読んでいて面白かったです。
撮影禁止が多かったので、ぜひ見に行ってください。
序章の「好古と考古-愛好か、学問か?」のコーナーは、古物愛好から、御雇外国人によって「考古学」がもたらされたころの話になっていました。
「好古」と「考古」と「美術」が重なり合うという語句を良いなと思う。
(私は研究はしていないので、『ひとり古代史愛好会』の活動を一人で楽しんでいます)
一章の「日本を掘り起こす-神話と戦争と」のコーナーは、本当に目からウロコでした。
近代日本において、「万世一系」の系譜を体現するために陵墓の調査は重要で、古墳から出土した遺物のうち、優品は皇室財産とされ帝室博物館に収蔵されました。
その中から、画家たちは古代の衣装などを参考にしていきます。
明治天皇陵には御陵鎮護の埴輪が埋葬されました。
その模型は午前中にトーハクで見てきましたよ。(↑に写真あります)
『明治天皇御大喪儀寫眞帖』(1912年)では、御陵鎮護の埴輪、奉送の鉄道、海外各国からの使節団など一大儀式に関連して、近代古代が入り交じっています。
が、この本の見返しには乃木将軍の肖像画があって、埴輪と殉死のイメージが人々に認知されていった面があると図録にはありました。
(昭憲皇太后までは伏見桃山東陵で埴輪が副葬品として埋葬されたけど、大正天皇以後は埴輪は副葬されていません)
それにしても、個人蔵とあったけど、よく100年以上も前の本を取っておいたなあ。
皇紀2600年を祝うあたりから、埴輪が考証の具ではなく、美的観点から称揚されていきます。
「仏教伝来以前の素朴な日本の美」としての埴輪。
蕗谷虹児の「天兵神助」の絵は衝撃でした。
倒れた航空士を挂甲の武人のような兵が抱きかかえて、他に叱咤激励しているような絵。
蕗谷虹児って美少女イラストの人だと思っていたから。
「戦時下において、聖典たる古事記と日本書紀の世界は古墳時代に連なっているという解釈が浸透していたためである」と図録にありました。
無表情な埴輪の顔は、「涙をこぼさない」日本人の理想として軍国教育に使役されていたそうです。
戦前の歴史教育は記紀を用いた神話を教えていて、歴史ではないと漠然と知っていたけど、こんなに埴輪が戦争に利用されていたとは。
2章「伝統を掘り起こす-縄文か弥生か」
戦後、黒塗り教科書で授業を受けるようになりました。
黒塗りの教科書の展示もありました。
神話に代わって、石器や土偶、埴輪といった出土遺物から始まる教科書になり、考古学は「実証的」かつ「科学的」な学問になったと紹介されています。
町民総出で古墳の発掘をして、その様子が映画となった「月の輪古墳」のフィルムも流されていました。
ちょっと感動しました。
また、戦前のような神話を描くための題材ではなく、土偶や埴輪が純粋に芸術作品の題材として見直されるようになりました。
岡本太郎やイサム・ノグチなどがインスピレーションを受けて作品を発表していました。
『野間清六は、イサム・ノグチが1950年の来日時、埴輪に着想を得た作品を発表したことを挙げ、「日本の美術に世界性がないと騒がれている時、最も日本的だと見られる埴輪がこのように愛好されるのは、そこに何かユニバーサルなものがあるからであると述べている。野間はいまだに考古資料としてしか埴輪は見られていないと主張し、彫刻としても立派なものと繰り返す』
(m2-20 野間清六「埴輪とその藝術性」1951年)
とはいうものの、埴輪や土偶をモチーフにした絵画や彫刻が展示してあったけど、イマイチ。
安田靫彦の歴史画ならともかく、モダンアートに土偶や埴輪ってどうなんだろう?
最後に、「大魔神」やサブカルとしても愛される埴輪や土偶に触れていました。
だけど、使われる題材はほぼ決まっていて、埴輪は挂甲の武人か踊る埴輪、土偶は遮光器土偶と火炎土器(土偶じゃないけど、縄文土器の代表格)とあった。
たしかにそうかも。

すでに大人だったから「おーい、はに丸」は見ていない。
トーハクと違って、こちらはゆったり見学できました。
この後、常設展もざっくり見る。
近代絵画のコーナーは知っている絵を見ると懐かしい。
今回は和田三造の「南風」と原田直次郎の「騎龍観音」アンリ・ルソーの女神が飛んでいる絵があった。
戦争画のコーナーはいつ見ても怖い。
絵が怖いというのではなく(怖いけど)、不都合なことを報道せず、勇ましい絵や映画ばかりを見せられたら、私も神国日本は絶対勝つ、と思いそう。
それぐらい迫力ある戦意高揚のための絵画だから。
一日で二つ見てすごく疲れたけど、企画展を比べて見ることができてとても面白かった。図録がとても重かったーー。
私はこのまま愛好家というか歴ヲタでいこうと思う。