梅雨の晴れ間を利用して、上州武尊山に登ってきました。
またも、夜中の12時に千葉を出て関越道を飛ばし、駐車場で仮眠してからの日帰り登山です。
「武尊山(ほたか)」は日本武尊が東征の際に登ったという伝説に由来する地名だそうで、前武尊山には日本武尊の像もあるそうです。穂高という有名な山があるので、こちらは「上州ほたか」と呼ばれたりもするそうです。
こちらの山はいくつかコースがあるものの、一番メジャーな武尊神社から剣が峰山を周回するコースで6時間50分、他のコースも7時間から8時間かかるらしい。
武尊神社起点のコースは「行者ころげ」と呼ばれるくさり場がいくつかあったり、
「木の根につかまって進む」なんて書いてあるので、初心者としては非常に怖い。
体力的には自信あるから8時間かかってもいいからできるだけゆるやかなほうが・・・と進言するも
「しゃおれんなら大丈夫。他のコースはよく道が分からないからメジャーなコースで行こう」と師匠(夫さん)に押し切られる。
師匠についていけば大丈夫かなあと不安になりながらも行く。
実は、一週間前に久しぶりにアイススケートをして転倒し、
右わき腹を強打し、若干痛みが残っていたり、右腕に力入れるとちょっと痛かったりするからくさり場不安だったんだけど・・・
結果から言うと、武尊山は師匠には「最近登った山の中で一番楽しい山」だそうで、
私にとっては、「楽しくきれいだったけど、怖くて痛い山」でした。
朝6時武尊神社で無事の登山を祈願してから登り始めます。
武尊神社の手前に登山者用駐車場があり、私たちはそこに停めたのですが、
さらに林道を進んだ奥にも駐車場があります。
そこに停めれば林道歩きを往復1時間程度省略できるのですが、慎重な師匠は「自己責任」の看板を見て車を手前に停め、林道を歩くことを選択。何台か通っていましたが、駐車場は10台くらいしか停められないので、いっぱいだったら戻ることになりそうなのでそれも大変かも。
それにすれ違うことができないから、乗り入れる人は「自己責任」でお願いします。
林道を歩き始めます。
だいたい30分くらい歩くと一般車両通行止めのロープ。
このそばが駐車場です。この後も林道を進みます。
林道の終点に剣が峰山との分岐の看板あり。まず武尊山を目指します。3.7Kmかぁ。
歩き始めはふかふかとした気もちのいい林の中の道。
ずっと沢の音が聞こえるし、鳥も鳴いてる。
小さな小川を越えたりして、なかなか楽しい。
なんて思ったのも束の間。徐々に険しい道に・・・
幅が狭くて、片側が落ちている道とか。(大峰山でこんな斜面を落ちたなー、私)
これが「木の根をつかみながら進む」とガイドブックにあった斜面か・・・こういうのがかなり続く。
地面がぬかるんでいて滑るし、身長が150cmしかないので木の根に足を掛けたくても届かなくてとても大変。
身長180センチの師匠は「面白いなー」と楽しんでましたが、体が硬いので足が上がらんとぼやく。
そうこうするうちに手小屋沢避難小屋の手前の分岐に。ここで登り始めから約1時間半。休憩します。
(避難小屋はこの看板から5分ほど行ったところの道から降りた沢のそばにあります。)
最初のくさり場。右下にハシゴがあって、そのハシゴから鎖に移る時の足場が怖い。
ボルダリングとかしたことないので、足を掛ける場所が小さいと緊張してしまいます。
下から師匠に見守られながら慎重に足を掛けつつ登る。
鎖場よりもぬかるんだ道のほうが大変だったりして・・・
2か所目はロープ。しかも、なんだか水が流れてる。濡れていない方に行きたかったけど、足を掛ける場所がなくて、途中の段のところまでは濡れている斜面を這うようにして登る。ロープよりも手で登った。軍手がびっしょり。
まだまだ雪が残っていて、その雪解け水でぬかるんでいるようでした。
雪の上を歩こうとして師匠に「踏み抜いちゃうから危ない!」と言われて初めて知る。
この時期の雪渓は、下が溶けていて空洞になっているなんて知らなかったです。
ここもロープ。ここはまだ足を掛けやすくてそれほど怖くなかったです。慎重に慎重に登る。
岩に挟まれるようにして登る。切り立った崖よりはまだ怖くないけど・・・
登ったところにシャクナゲの花が咲いていて癒される。
最後のくさり場。このハシゴの頼りなさったら半端ないぃー。
それに、この高さ・・・(泣)
登ってくる師匠を写真に撮ろうとして鳥肌たっちゃった。
眺望が良いのは好きだけど、高いところから真下を見ることは実は苦手な私。
(下が見える吊り橋とか渡れない)
この連続鎖場を過ぎれば尾根に出て、武尊山の頂上が見えて気分が上がる。
武尊山の頂上までの尾根歩きは楽しかったー!
急登を息を切らしながら登るのが好き♡
ハイジがおじいちゃんの家にまっしぐらに戻る様子に似ていると師匠に「千葉のハイジ」と命名される。
登り始めて3時間20分、山頂に着きました♪
これで、百名山11座目、師匠は53座目です。
眺望がいいはずなのですが、ガスっててあまり遠くまで見られません。うーん、残念。
それでも、気持ちの良さそうな尾根越しに剣が峰山が見えて、この道を歩くんだなーと気分も上がる。
ところどころにまだ雪が残る。風がたまに冷たいけど、ウィンドブレーカーを着るほどではない。
剣が峰山目指して下山開始です。
降り始めてすぐは、薄い瓦が積み重なったみたいな嫌な下り坂。
不安定ですべるから、景色を見ることもできない。
雪渓を渡ります。すでに踏み跡があって登山靴で全然平気だったんだけど腰が引けてる私。
雪渓を渡るとこんな感じの眺望の良い気持ちが良い道。向こうに剣が峰山が見えます。
本当に楽しい♪
が、剣が峰山の頂上を攻めずにあっさり下山を選びます。武尊神社は右方向。
下山のルートはくさり場こそ無いものの、やっぱり木の根につかまって降りたり、その木の根が滑ったり、崩れた道を下りたりと大変。登りはまだ上が見えるからいいけど、下に降りるときは足下が見えなくて、
脚の短い私は足下を探りながらだったり、足を掛た石が浮石だったりで、ド緊張。
おしりをつけて手もついて降りるのと、山側に這って降りるのはどちらが安全?
そんなことを考えながらの道が2時間近く続く。
脚が長い師匠は「アスレチックみたいで面白い!」と言っていた。
緊張しながらも降りていたのだけど、写真はこれで最後。
なぜなら、この後、緊張しながら降りていたはずなのに、
足が滑って転倒してお腹を木に強打したから。
今回もどうしてそうなったのか瞬間の様子は自分ではわからない。
本当に痛くて、思わず「痛いよー、痛いよー」と泣きそうだったのに声すら出なくてマジびびる。
師匠が飛んできて「大丈夫?!」と声かけてくれるも返事もできない。
先日のスケート以来、脇腹痛かったから今回であばら折れたかも、
なんて悲しい妄想が瞬時に飛び交う。
結局、少し休んだら声も出るようになったし、あばらも折れてないみたいで普通に歩けました。
ドラマでみぞおち殴られて気絶するシーンを見たことあるけど、気絶することもあるんだなぁと実感しました。
私は気絶こそしなかったけど(笑)
その後は師匠が私の荷物も持ってくれて、私の足の届かないところは手で足場を作ってくれて降ろしてくれるという大サービス。
それでも、いったん湧いた恐怖心はなかなか去らず、腰引けまくりなのか、
なんてことないぬかるみで滑ったり、
石だらけのガレっぽい道でもずるずる滑ってビビったりと。
武尊沢の渡渉地点も、いつもは「沢大好き♡」なのに、「落ちたらどうしよう」の気持ちが先に立ってしまう。
剣が峰と武尊山の分岐にたどり着いた時は、
「あー、もうこの後は林道だぁー♪落ちることも転ぶこともないー!」と心の底から嬉しく思いました。
午後1時15分に登山口に到着。生きててよかったー!神様有難うございます!
その後、「湯テルメ谷川」(入場料570円。露天風呂もあり、いい感じの公営温泉です。武尊山と谷川岳のバッチを売ってます)に行った時に、鏡で見てもあざができていないのを確認。あんなに痛かったのにほっと一安心。
お風呂に入って吐いちゃったらどうしようかと思ったけど、普通に気持ちよく入浴。
その後、高速乗って千葉まで帰ってきたけど、車の中でパン食べたり珈琲飲んでもなんともなかった。
現在2日経ってるけど、なにも起きていないから大丈夫そう。筋肉痛にもなってないし(^^)v
帰りの車の中で師匠が「しゃおれんが不憫」と言いつつ、「変化に富んでて面白い山だった」と言う。
私も剣が峰山に行く途中の縦走路まではとても楽しかった♪
でも、その後の下りからもう思いだしたくない。
武尊牧場やオグナスキー場から登る道はどうだったんだろう?
くさり場なんて書いてあるけど。
よっぽど、くさり場のほうが安全のようにも思えるけど・・・
こうして無事に帰ってこれたのも登山前の武尊神社に祈願したご加護のお蔭ですね。
ありがたいことです。帰宅後、靴を洗いながらも靴にも感謝。
まだ登山を始めて1年足らず、今回で登山も13回目(うち、百名山11座目)、
実はまだまだ技術が無いんだなあと実感。特に下り。
「今までが向こう見ずすぎたんだよ、体力を過信せずにゆっくり行こうよ」と師匠に慰められるも、
簡単な山から徐々にステップアップ、というより、
師匠の百名山登頂に連れられているだけ。
それが向こう見ずなんじゃないかな?親に連れられて山に来る子供が、遭難したり、事故にあうとは夢にも思わないような感じに似ているような。
バテないようにランニングやスクワットして体力はつくけど、登山の技術って登りながらしか身に付かないのかな。
今はもう少し優しい山に登らないと、
このままだと下山が怖くて山に登れなくなりそうです。