震災遺構を見学した理由
11年前の3.11東日本大震災は忘れられない出来事です。
私には直接の被害はありませんでしたが、
(当時千葉に住んでいて近所一帯が液状化したくらい)
東北には親戚もいて福島の従兄は結局家業をやめることになったし、
色々考えることがありました。
ボランティアバスに乗って、片付けにも二度ほど行きました。
本当に役にたたないけど、現地のボランティアリーダーの方が「こうして来てくれることが励みになる」「忘れられていないと思えることがいい」と言ってくださったのが救いでした。
その後は偽善かもしれませんが寄付でお茶を濁してきました。
あれから幾度か大きな地震や水害などが東北を襲って(東北だけじゃないけど)、その都度乗り越えていく人々の忍耐力に頭が下がります。
今回東北旅行をするなら、どこかで震災遺構を見学して、11年たってどのようになっているのかを知りたいと思いました。
公共交通機関で行ける石巻の「石巻市震災遺構門脇小学校」を見学してきました。
仙台から石巻へ
仙台駅で石ノ森章太郎先生のキャラクターを見つけてまず嬉しい。
石巻は「魚と漫画の街」ということで駅には石ノ森章太郎先生の作品のキャラクターがいてテンション上がります。(これについては後述)
8:30発の市内循環バスで門脇四丁目バス停下車。8:42着
バス停の目の前に門脇小学校があります。
展示館は9時開館だったので、小学校の前にひろがる「石巻南浜津波復興記念公園」に行きます。
公園の中の丘から海や街を見渡す。
写真を見るとかつては住宅街でした。
ボランティアで来た時には、片付いていない状態でそれはとても心が痛む風景でしたが(私が行ったのは、南三陸のほうで石巻ではないですが)、こうして以前人が住んでいた場所から住宅が無くなっているというのも切ないものを感じました。
門脇小学校
明治に開校した歴史ある公立学校で、南浜地区の開発とともに児童数も増え、かつての学校行事の写真からはにぎやかで楽しそうな様子が伝わります。
震災当時は、日ごろからの訓練(縦割りによる児童どうしの助け合いも含む)、教員の判断が良く、適切な避難によって多くの命が救われました。
多くの児童が救われたとはいえ、この地域全体でみると犠牲になった方がいらっしゃるので、見学しながらも胸が痛くなりました。
他所の地域の住人が見学するのは偽善ではないかと思いながらも、「日頃の訓練や人との結びつきが大事」という教訓というか希望を抱ける震災遺構は見学してよかったです。
校舎は津波と津波火災により被災していて、現在はその様子を外部から見学することと、映像や多くの資料から当時のことを知ることができます。
津波の映像は途中で辛くなって見るのをやめてしまったけど、先生と生徒たちのインタビュー映像は見ながら泣けてしまった。
校舎に避難していた人々は、津波で押し寄せてきた家や車が燃えて校舎も危ないから裏山に逃げようということになり、教壇をはしごがわりにして渡ったそうです。
その場所を見ましたが、結構校舎と裏山の間が空いていて怖い。教壇もすごく重いのに先生方が必死に運んだそうです。
その場で適切な判断ってできるのかな。
結果として良かったのかもしれないけど、そういうのも常日頃からよく周囲を見ていないとできないと思います。
印象的だったのは、生徒が先生を信頼している様子、先生たちの責任感使命感の強さ。
自分の子供の無事を確認したらまた現場に戻った女性教員の方がいたなんて。
壁にあった生徒の作文で、転校してから新しい学校は避難訓練が適当なので不安になるといった趣旨を読んで、日ごろから備えておくということが大事だと思いました。
私も夫さんが逝ってしまって悲しくて仕方ないけど、同じように大事な人を失った人たちはどうやって乗り越えたんだろうと、映像やパネルを見ながら思う。
大事な人だけでなく、家や大事な物も無くしてしまったのだから本当に辛いと思います。
普通に明日は来ると思っていたけど、突然その日常が崩れる恐怖。
だからこそ、今日に感謝すべきなんだろうけど、そんなに簡単に気持ちが切り替わらない。
震災の被害の規模、避難の様子、その後の仮設住宅での暮らしを伝え、災害を伝承することで次の災害の被害を少なくするという努力をすることは大事だと改めて思いました。
今回見学して、無事だった地域から来て、その時は辛かっただろうと知るだけでいいのかという気もします。
でも、関心を寄せることで、せめて自分は自分の町内会の防災訓練には真面目に参加しようとか、災害時の備えを家に置いておくようにして避難所に行けなくてもなんとかなるようにしようとか思っただけ良しとします。
石ノ森漫画館へ
見学を終えて、次の目的地石ノ森漫画館へ向かいます。
10:02に市内循環バスが来るので(このあとは11:42まで無い)、石巻げんき市場バス停で下車。川の向こうに宇宙船のような建物が見えます。
しゅんとしていたのに、急にワクワクが来ました。
実は私は子供の頃、「サイボーグ009」というまんがが好きでした。
(世代なので、仮面ライダーもキカイダーもゴレンジャーもロボコンも知っている)
「サイボーグ009」は昭和の東西冷戦時代らしいマンガでした。
「黒い幽霊団(ブラックゴースト)」によって兵器として改造された主人公たちはブラックゴーストから脱出してそれと闘うのですが、利益のために戦争や紛争を起こそうとするブラックゴーストとの戦いだけでなく、人種問題や神話なども題材にあって面白かったです。
バイプレーヤー好きの私は、全身兵器の004と、009を助けるために宇宙へ飛んで一緒に流れ星となった002が好き。
漫画館自体は、フィギュアの展示がメインで、原画がもっとあったらなーとか、当時のアニメも放送してほしいなあとか色々思うところもありましたが楽しかったです。
同じ趣味の人といったらもっと楽しいと思います。
スタッフさんがサイボーグ009のコスプレしていて、かわいくて「写真撮らせてください」とお願いして撮らせてもらいました。
マンガストリート
駅までの帰り道、キャラクターがあちこちにいます。
写真を撮りながら歩いていました。
こういうのって、町おこしになると思いました。
知っているキャラクターが町中にいるだけなのになんか嬉しい。
夫さんは水木しげるが好きだったので、いつか水木しげるロードに行こうと話していましたが、私はそれほど妖怪に詳しくないのでまだ行く計画も立てていません。
石巻焼きそば
電車まで時間もあるし、ちょうどお昼なので駅前の「くるるん」で石巻焼きそばを。
石巻焼きそばは二度蒸すことで麺が柔らかくなり味がしみこみやすいとか。
普通に美味しいソース焼きそばでした。
タコ焼きまでしっかり食べました。
震災遺構で真面目に考えたりパネルを見て泣いたり、漫画館で笑ったり、大忙しの石巻観光でした。
どちらか一方でもダメだと思います。
せっかく石巻に来たなら漫画館だけじゃなくて、門脇小学校も行ったほうがいいと思うし、その逆も。